#マクロの視点 サウジアラビア市場に見る「金利サイクル絶対主義」の証明 #FRB #SAMA #金利
FRBの影、サウジアラビア市場を支配する金利の力
我々マクロ経済学者が常に主張していること、それは「金利サイクルこそがすべての資産価格を決定づける」という原則です。今回、Nature誌が報じたサウジアラビアの株式市場に関する論文は、この原則を強力に裏付ける興味深いデータを提供しています。
記事によれば、サウジアラビアの株式市場(Tadawul)は、所得(GDP)、石油価格、そして金利の三要素によって影響を受けますが、特に金利の変化が市場に与える影響が重要であることが示唆されています。
石油より強力? マクロ経済学者が注目するNature論文の示唆
サウジアラビアといえば、世界最大の石油輸出国であり、原油価格の動向が市場の最重要因子だと一般的には考えられがちです。しかし、本論文は金利の力が原油価格や国内の所得変化と並ぶ、あるいはそれ以上に強力な決定要因となり得る可能性を示唆しています。
この背景を理解するには、為替政策に目を向ける必要があります。サウジアラビア・リヤルは米ドルにペッグされています。したがって、サウジアラビア中央銀行(SAMA)は、事実上、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に追随せざるを得ません。FRBが利上げを行えば、SAMAも資本流出を防ぐために追随利上げを余儀なくされます。
この追随金利の上昇は、Tadawul市場の資金調達コストを直接的に押し上げ、企業の将来キャッシュフローの割引率を高めるため、株価には下押し圧力がかかる構造にあると見られます。
現在の金利サイクルにおける中東市場の立ち位置
現在、FRBは高インフレに対処するため、歴史的なペースで政策金利を引き上げてきました。この「より長く高い金利(Higher for Longer)」のスタンスは、サウジアラビア市場にも直接的に響いていると考えるべきです。
もしFRBがインフレ抑制に成功し、今後利下げサイクルに転換すれば、SAMAも追随し、サウジアラビア市場に強力な追い風が吹く可能性があります。逆に、FRBが再度引き締め姿勢を強化すれば、市場は調整局面に入るリスクがあると分析されます。
我々が注目すべきは、原油価格の短期的な変動ではなく、FRBがいつ、どのようなペースで次の金利サイクルに移行するのか、という点です。金利こそが、グローバルな資産価格、ひいてはサウジアラビアのようなペッグ制を採用する国々の市場の命運を握っていると言えるでしょう。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
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