エマージング市場の「潮目」:サウジの資源依存型からインド・ASEANの内需主導型へ #新興国投資 #人口ボーナス #エマージング

サウジ市場の感応度から見えるエマージング市場の構造変化

エマージング市場(新興国市場)の専門家として、常に世界の次の成長エンジンはどこにあるのかを追っています。今回、Nature誌が報じたサウジアラビア株式市場に関する分析は非常に興味深いものでした。これは、伝統的な資源国モデルのエマージング市場が、いかに外部環境に敏感であるかを改めて示唆しています。

研究によれば、サウジアラビアの株価は、所得(国内経済活動)、原油価格、そして金利の変化によって影響を受けることが確認されています。特に、原油価格と金利が重要な決定要因である点は、サウジ経済の構造、つまりオイルマネーによる財政と、米ドルペッグ制による米国の金融政策への連動性を如実に反映していると言えます。

資源国モデルの限界と魅力:原油・金利に支配されるサウジ市場

サウジアラビアのような資源依存型のエマージング市場は、原油価格が高騰すれば、一時的に莫大な富と投資機会をもたらします。しかし同時に、先進国、特に米国の中央銀行が金利を引き締めれば、その影響を直接受ける構造にあります。これは、グローバルな金融サイクルに大きく左右される「外部主導型」の成長モデルであると見ることができます。

現在の世界経済は、先進国におけるインフレ抑制のための金融引き締めサイクルが続き、成長が減速する局面にあると見られます。こうした環境下では、外部環境に強く依存する資源国市場は、調整局面を迎える可能性が高いと言えるでしょう。

次の覇権国が持つ条件:人口ボーナスと内需の強靭性

私が注目するのは、このような伝統的な資源国モデルとは異なる成長経路を辿る「新世代のエマージング市場」です。その代表格がインド、そしてベトナムやインドネシアといった東南アジア諸国連合(ASEAN)の中核国です。

これらの国々は、サウジアラビアのような資源輸出に頼るのではなく、巨大な「人口ボーナス」を背景にした内需の拡大こそが主要な成長ドライバーとなっています。インドは世界最大の人口を擁し、若年層の比率が高いことから、今後数十年にわたる消費拡大のポテンシャルを秘めています。東南アジア諸国も同様に、中間層の厚みが増しており、国内消費やインフラ投資が経済成長を牽引する構図です。

先進国サイクルの減速を乗りこなす「自立成長」の可能性

サウジ市場が原油や金利の動きに強く連動するのに対し、インドやASEANは、自国の強靭な内需によって、先進国の景気サイクルや金融政策の影響を相対的に受けにくい「自立成長」の軌道に乗る可能性を秘めていると分析しています。

もちろん、全ての新興国市場が一直線に成長するわけではありません。地政学的リスクや国内の構造改革の遅れといった課題は常に存在します。しかし、外部要因に左右されやすい旧来型のエマージング市場から、内需主導型で先進国の減速を乗り越えようとする新興国へ、投資家の関心と資金がシフトしていく「潮目」にあると見られます。

投資戦略としては、個別の国やセクターの特性を見極めつつ、長期的な人口動態と構造改革の進捗に基づいたアプローチが、特に重要になってくる可能性があるでしょう。

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