「次の覇権国」の熱気が金市場を押し上げるか? 人口ボーナスが変える需要構造 #エマージング #ゴールド

先進国減速期における金(ゴールド)の新たな主役

先日、UBSはレポートで、高まる需要を背景に金価格の上昇が継続する可能性があると指摘しました。伝統的に金は、先進国経済の不安定化やインフレヘッジとして注目されてきましたが、新興国市場を専門とする私の視点からは、この金の需要構造の変化は「次の覇権国」の台頭と密接に関連していると見ています。

先進国が金融引き締めの影響や人口高齢化による成長鈍化サイクルに入る中、インドや東南アジア(ASEAN)といったエマージング諸国は、構造的な成長フェーズに突入しています。このダイナミズムこそが、金市場に長期的な影響を与える可能性があるのです。

インド・東南アジア:中間層の拡大と「宝飾品需要」の進化

特にインドは、世界最大の金消費国の一つです。金の需要は、単なる投資目的だけでなく、結婚や祭事における伝統的な宝飾品としての役割が非常に大きいことで知られています。インドをはじめとする多くの新興国は、まだ若年人口が多く、今後数十年で中間層が爆発的に増加する「人口ボーナス期」のただ中にあります。

経済成長に伴い、これらの国々の可処分所得が増大すると、宝飾品としての金購入が増えるだけでなく、資産保全手段としての金貨や地金への関心も高まることが見込まれます。先進国では見られないこの強固な内需の拡大が、金価格を下支えする一つの要因となる可能性があります。

新興国の中央銀行による「脱ドル」戦略

また、UBSのレポートが示唆するように、中央銀行の購入も金価格上昇の主要因です。ここで注目すべきは、金準備を急ピッチで積み増しているのが、中国、インド、トルコといった主要新興国の中央銀行である点です。

これは、米国の金融政策サイクルからの自立志向、および地政学的なリスクに対する分散戦略の一環と見られます。先進国の財政赤字拡大や政治的不確実性が高まる中で、新興国側が自国通貨や資産の安定性を高めるために金を選好する動きは、構造的なものとなる可能性があるでしょう。

結論として、金の上昇は、先進国の不確実性への逃避だけでなく、新興国経済の構造的な成長と、彼らが追求する地政学的な安定戦略によって双方向に支えられていると分析されます。「次の覇権国」候補群が経済力を増す限り、金への長期的な需要は高水準で推移することが期待されます。

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