#エマージング・シフト:米ドル弱含みで加速する「次の成長サイクル」の行方
先進国サイクルの減速と「エマージング・シフト」
米国市場からのニュースが世界を駆け巡っています。FRB(連邦準備制度理事会)が法的な手続きに関連する報道が流れ、これを受けて米ドルが弱含む展開が見られました。先進国の金融政策や政治的なノイズは短期的な市場のボラティリティを高めますが、長期的な視点を持つ我々新興国専門家にとって、これは構造的な資金の流れを見る上で重要なシグナルと捉えることができます。
先進国、特に米国や欧州は、パンデミック後のインフレ対応に追われ、金利は高止まりしつつあります。同時に、人口動態を見ると高齢化が進行しており、潜在成長率が構造的に低迷するサイクルに入っていると見られます。このような中で、先進国側の金融・政治的な不安定要素が増加すると、国際的な資金はより高い成長と安定性を求める動きを強める可能性があります。
ドル不安が新興国への関心を高める構造
金融緩和観測とリスク選好度の変化
米ドルの弱含みは、一般的に新興国市場にとっては好材料となる傾向があります。ドル高圧力が緩和されることで、新興国のドル建て債務負担が軽減され、また、相対的に新興国通貨の魅力度が高まるためです。今回のFRBを巡るニュースが、将来的な金融政策の方向性、特に利下げ開始時期に関する不確実性を高めた場合、短期的な混乱は避けられないものの、長期的には米国の実質金利が低下に向かう観測が強まり、リスク選好度が回復するきっかけとなる可能性も考えられます。
人口動態が織りなす「次の覇権国」候補たち
先進国サイクルの成熟化と対比されるのが、アジアの活気ある新興国群です。特にインドとASEAN諸国(インドネシア、ベトナムなど)は、圧倒的な人口ボーナス期にあります。
- インド: 世界最多の人口を抱え、労働年齢人口の増加が内需拡大と生産性向上を牽引しています。政府の製造業振興策も相まって、サプライチェーン再編の主要な受け皿となることが期待されています。
- ASEAN: 若い人口構造に加え、地政学的な中立性や自由貿易圏の強化が進んでおり、外資誘致に積極的です。都市化と中間層の形成が急速に進んでおり、消費市場としての魅力が増していると見られます。
これらの国々は、先進国とは異なり、労働力人口の減少や構造的インフレに悩まされるよりも、むしろ力強い内需拡大と生産性の向上という成長ドライバーを有しているのが特徴です。
先進国の政策や政治的なノイズが強まる時、それは往々にして、長期的な成長の種を蒔いている市場へ資金がシフトする構造的な動きを加速させるトリガーとなる可能性があります。我々は引き続き、先進国の減速と新興国(エマージング)の成長の対比に注目していく必要があるでしょう。

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