JPMの2026年見通しを読む:シリコンサイクルは『春』から『夏』への移行期、警戒すべき「多次元的な二極化」とは? #半導体サイクル #AI投資
AI主導の加速期に入ったシリコンサイクル
J.P.モルガンが発表した2026年の市場見通しは、「多次元的な二極化(Multidimensional Polarization)」がキーワードとなっており、現在の産業界の複雑な状況を的確に捉えています。シリコンサイクルを追う産業アナリストとして、この二極化の波が半導体市場のどの段階で生じているのかを解説します。
二極化の正体:AI投資の熱狂と一般需要の遅延
2023年を通じて半導体業界は在庫調整という「冬」を経験しました。しかし、2024年に入り、AI、特に生成AI向けインフラ(GPU、HBMなど)への歴史的な投資が需要を強力に牽引し、サイクルは明確な回復期、「春」を迎えました。現在、私たちはこの「春」から需要が爆発的に伸びる「夏」へと移行する初期段階にあると分析しています。
J.P.モルガンが指摘する「二極化」とは、まさにこの移行期特有の現象です。AI関連の最先端技術への需要は文字通り桁違いであり、特定企業の株価や収益を急激に押し上げています。しかし、PC、スマートフォン、一般産業向けといった広範な市場における半導体需要の回復は、まだ緩やかであり、AIが牽引する成長のスピードには追いついていません。これが「多次元的な二極化」の本質であり、高性能セクターとレガシーセクター間の格差拡大につながっていると見られます。
サイクル分析:『夏』の過熱感と潜在的リスク
AI需要の加熱ぶりは、現在の市場が「夏」の初期にあることを示唆しています。「夏」は通常、需要が供給能力を上回り、設備投資が活発化する時期です。しかし、この成長はAI分野にあまりに集中しているため、短期的に見れば過熱感を伴う可能性を否定できません。
もし、AI関連投資のペースが予想外に減速した場合、あるいは一般需要の回復が期待通りに進まなかった場合、現在は潤沢でないとされているAI関連部品についても、将来的には供給過剰のリスクが顕在化する可能性も考慮に入れる必要があります。
したがって、投資家や事業者は、この成長の「夏」を最大限に享受しつつも、成長の裾野がデータセンターや特定の大手IT企業から、より広範な産業へと広がる兆しを冷静に見極める必要があるでしょう。市場全体がバランスを取りながら真の成長軌道に乗るためには、まだ時間が必要となる可能性があると見られます。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
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